敬愛するエーリッヒ・ケストナーの名作「飛ぶ教室」より名前を拝借。Das fliegende Blog 、略して「飛ぶログ(?)」。
成田けいの他愛もない日常をぽつりぽつりと綴ってみます。記事の内容と掲載日時は必ずしも、というかほとんど合致しませんので、ご了承くださいませ。
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衝撃的なことが起こった。
昨夜、北海道ツーリングその3を書いていたのだが、珍しくすいすい筆が進んで、いつもと雰囲気は違うけどすごくいい文章が書けた。と思った。執筆に1時間ほどを費やし(←なげーよ)、休憩を入れてたら、その間にエラーメッセージとともに消えた…。もちろん、勝手に消えたわけではなく、誤操作によるものなのだが。
すごい衝撃だった。だって、久しぶりの傑作が、楽しかった1時間が、一瞬で消えてしまったのだから。
その夜は布団で泣いた。
というわけで、本当は、「舗装の悪い道路にボコボコと体を突き上げられながらペダルを踏み、しかし完全に日が暮れ街灯のない真っ暗闇の道を落車の恐怖に怯えながら走り、なんとか海沿いの国道までたどり着いた」までの、大スペクタクル?を書いたのです。ええ、本当は、本当に。
しかし、それをもう一度1から書く気力がさすがに出ないので、その続きから始めたいと思います。正直カットしてもブログ上何も差し支えない部分ですので、読んだつもりでぜひ続きを読んでやってください。(続きもカットして差し支えない部分ですが…)では気を取り直して!
考えは少し甘かった。
さすがに国道だけあって道幅は広い。舗装もきれいだ。車もときおり通り路面を照らしてくれる。しかし、街灯は、相変わらずなかった。(でもね、路肩を示す矢印だけはちゃんと設置してあるんですよ。さすが雪国。)
なおも真っ暗闇の中を、自転車のライトだけを頼りに進まねばならない。しかも、知らない場所で初めての宿を探すのだ。
国道に出た当初は安堵していたものの、だんだん不安な気持ちになってきた。本当に着くのか…?
地図によると道路沿いに2kmほど行けば宿が現れる。そろそろ2kmだと思うのだがそれらしき宿どころか、灯り一つ見えない。というか、人の暮らす気配がまったくない。きっと左側はずっと森か牧場なのだろう。もちろん右は海。サイクルコンピュータはあるが、国道に出た時点での距離を見ていなかった。2kmを超えたのかは、もはやわからない。
いやな想像が膨らむ。
地図を見た限りでは宿は道路に面しているけど、実は道路からちょっと離れたところにあったらどうしよう。縮尺の関係でそんなことはざらにある。
宿の灯りが森に遮られて、国道まで届いていないのでは…。そうなら道路に看板やわき道があるだろうが、この暗闇でそれらの存在に気づくのは難しい。
そんなことを考え走っていると不安はどんどん大きくなる。さすがにおかしい、これは確実に宿を過ぎたんじゃないか。そう思ったとき、一瞬、ほんとに一瞬闇の中に光が見えた。
慌ててブレーキをかける。自転車を止めるが辺りは真っ暗。見間違いかもしれないと思いつつ、道をゆっくり戻ってみる。
と、確かに光が見える。木の向こうにぼんやり灯りがついている。ただし、宿とは思えぬような小さな灯り。常夜灯か何かかも…。と、思ったが、頼るものはこれしかない。灯りがあるということは人がその辺りに住んでいるかもしれない。そこで道を聞こう。
まっすぐ灯りに向かいたかったが木々の中を突っ切ることは不可能。仕方なくさらに国道を戻り、わき道を探す。
見つけた灯りがまた木々の間に見えなくなり、再び不安にかられ始めた頃、わき道は現れた。
わきへ入ると砂利道になったので自転車を降りる。するとすぐ横に別の灯りがあった。こちらはまぎれもなく家の窓からの灯りだ。やった、家だ!人だ!
道を尋ねようと建物に近づく。この時間なら人のいる可能性は高い。
…が、なんか妙なのだ。灯りは漏れているのに、話し声とかテレビの音とか生活音がまったく聞こえて来ないのだ。人の気配がない。
辺りは暗闇、ホラーな想像が胸をよぎる…。
これ、チャイム押して誰も出てきてくれんかったら、なんかめっちゃ怖いやん~っ。てゆうか、人じゃないものが出てきたらどうしたらいいんだ~~っ。
いやいや落ち着け。だいたい冷静に考えれば、誰か人が出てくれたとして、こんな夜更けなんて警戒するに決まってる、絶対怪しすぎる!
思いとどまって正解。答えは次の瞬間浮かんだ。
「あ、宿に聞けばいいのか」
そんなことに気づかないくらい余裕をなくしていたのだ。
電話で居場所を説明できるよう、自転車のライトで辺りを照らす。と、かなり大きくて高さのある看板がすぐ近くに浮かび上がった。「○○黒毛牛牧場…」
……おいしそう。
とっくに夕飯の予定時刻を過ぎていた私は、看板の文字に見惚れながら、携帯のボタンを押した。
待て次号。
昨夜、北海道ツーリングその3を書いていたのだが、珍しくすいすい筆が進んで、いつもと雰囲気は違うけどすごくいい文章が書けた。と思った。執筆に1時間ほどを費やし(←なげーよ)、休憩を入れてたら、その間にエラーメッセージとともに消えた…。もちろん、勝手に消えたわけではなく、誤操作によるものなのだが。
すごい衝撃だった。だって、久しぶりの傑作が、楽しかった1時間が、一瞬で消えてしまったのだから。
その夜は布団で泣いた。
というわけで、本当は、「舗装の悪い道路にボコボコと体を突き上げられながらペダルを踏み、しかし完全に日が暮れ街灯のない真っ暗闇の道を落車の恐怖に怯えながら走り、なんとか海沿いの国道までたどり着いた」までの、大スペクタクル?を書いたのです。ええ、本当は、本当に。
しかし、それをもう一度1から書く気力がさすがに出ないので、その続きから始めたいと思います。正直カットしてもブログ上何も差し支えない部分ですので、読んだつもりでぜひ続きを読んでやってください。(続きもカットして差し支えない部分ですが…)では気を取り直して!
考えは少し甘かった。
さすがに国道だけあって道幅は広い。舗装もきれいだ。車もときおり通り路面を照らしてくれる。しかし、街灯は、相変わらずなかった。(でもね、路肩を示す矢印だけはちゃんと設置してあるんですよ。さすが雪国。)
なおも真っ暗闇の中を、自転車のライトだけを頼りに進まねばならない。しかも、知らない場所で初めての宿を探すのだ。
国道に出た当初は安堵していたものの、だんだん不安な気持ちになってきた。本当に着くのか…?
地図によると道路沿いに2kmほど行けば宿が現れる。そろそろ2kmだと思うのだがそれらしき宿どころか、灯り一つ見えない。というか、人の暮らす気配がまったくない。きっと左側はずっと森か牧場なのだろう。もちろん右は海。サイクルコンピュータはあるが、国道に出た時点での距離を見ていなかった。2kmを超えたのかは、もはやわからない。
いやな想像が膨らむ。
地図を見た限りでは宿は道路に面しているけど、実は道路からちょっと離れたところにあったらどうしよう。縮尺の関係でそんなことはざらにある。
宿の灯りが森に遮られて、国道まで届いていないのでは…。そうなら道路に看板やわき道があるだろうが、この暗闇でそれらの存在に気づくのは難しい。
そんなことを考え走っていると不安はどんどん大きくなる。さすがにおかしい、これは確実に宿を過ぎたんじゃないか。そう思ったとき、一瞬、ほんとに一瞬闇の中に光が見えた。
慌ててブレーキをかける。自転車を止めるが辺りは真っ暗。見間違いかもしれないと思いつつ、道をゆっくり戻ってみる。
と、確かに光が見える。木の向こうにぼんやり灯りがついている。ただし、宿とは思えぬような小さな灯り。常夜灯か何かかも…。と、思ったが、頼るものはこれしかない。灯りがあるということは人がその辺りに住んでいるかもしれない。そこで道を聞こう。
まっすぐ灯りに向かいたかったが木々の中を突っ切ることは不可能。仕方なくさらに国道を戻り、わき道を探す。
見つけた灯りがまた木々の間に見えなくなり、再び不安にかられ始めた頃、わき道は現れた。
わきへ入ると砂利道になったので自転車を降りる。するとすぐ横に別の灯りがあった。こちらはまぎれもなく家の窓からの灯りだ。やった、家だ!人だ!
道を尋ねようと建物に近づく。この時間なら人のいる可能性は高い。
…が、なんか妙なのだ。灯りは漏れているのに、話し声とかテレビの音とか生活音がまったく聞こえて来ないのだ。人の気配がない。
辺りは暗闇、ホラーな想像が胸をよぎる…。
これ、チャイム押して誰も出てきてくれんかったら、なんかめっちゃ怖いやん~っ。てゆうか、人じゃないものが出てきたらどうしたらいいんだ~~っ。
いやいや落ち着け。だいたい冷静に考えれば、誰か人が出てくれたとして、こんな夜更けなんて警戒するに決まってる、絶対怪しすぎる!
思いとどまって正解。答えは次の瞬間浮かんだ。
「あ、宿に聞けばいいのか」
そんなことに気づかないくらい余裕をなくしていたのだ。
電話で居場所を説明できるよう、自転車のライトで辺りを照らす。と、かなり大きくて高さのある看板がすぐ近くに浮かび上がった。「○○黒毛牛牧場…」
……おいしそう。
とっくに夕飯の予定時刻を過ぎていた私は、看板の文字に見惚れながら、携帯のボタンを押した。
待て次号。
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